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茨城大学地質情報活用プロジェクトのブログ
- 2025.01.31
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- 2008.10.27
海食洞
- 2008.10.18
火山学会in盛岡
- 2008.10.13
千波湖
- 2008.10.07
黒鉱-くろこう-
- 2008.10.04
学生フェスティバル
海食洞
最近急に寒くなってきましたね。布団から出るのも一苦労です。
今回は、僕も地質観光まっぷで担当している五浦海岸の素敵なスポットを紹介したいと思います。
突然ですが、皆さんは「海食洞」って知っていますか?
海岸の崖に断層や割れ目などの比較的弱い部分があると、浸食が早く進むため空洞がつくられるんですが、五浦海岸の調査中「海食洞」を発見することができました。
2つ目の写真は海食洞の中から撮影したものですが、まさに絶景!
隙間から望む海は雄大で、海食洞内部にこだます風・波の音は素晴らしく、肌で自然を感じることができます。
五浦海岸は比較的軟らかい砂・泥の岩石と硬い石灰質団塊からできています。そこに太平洋の荒波が打ち寄せることで浸食が進み、入り江ができ、崖がつくられ現在の地形となりました。
上写真の海食洞は「忘れずの碑」下の海岸で見ることができます。
現在作成中の五浦海岸地質観光まっぷで詳しいアクセス方法などを掲載する予定ですので、ぜひまっぷ片手に足を運んでみてください!!
火山学会in盛岡
10月11~13日にかけ、火山学会が行われました。
場所は盛岡、岩手大学です。
連日好天に恵まれていましたが、特に13日は雲ひとつ無い、文字通りの青空。
岩手大学のとある実験室からの風景です。
標高2038mの岩手火山がそびえています。
1731年の噴火では、北東山麓に焼走り溶岩流が噴出し、1919年にも小噴火を起こしている活火山です。
1731年の噴火の際の溶岩流は、現在国の特別天然記念物に指定されています。荒涼とした景色が広がる中、ゴロゴロとした溶岩の上を直接歩くことができます。溶岩はすでに冷え固まっていますが、植物が根をはるにはやはり難しいようです。
学会後、時間があったので、盛岡市のとなり、雫石町の玄武洞と鳥越の滝を見てきました。
玄武洞といえば、兵庫県の玄武洞が有名です。そこで見られる岩石が、その姿から、想像上の動物である玄武になぞらえて「玄武岩」と命名されたのは有名な話です。
そして、これが岩手県の玄武洞です。
正面の駐車場と玄武洞の間には、川と道路があります。
左のほうのややくぼんだところは、かつては洞窟になっていましたが、平成11年に崩落し、現在はフェンスが設けられているため近づけなくなっています。
見事な柱状節理ですね。
柱状節理は、溶岩が冷えて固まるときに、溶岩が収縮してできた割れ目で、冷却時の環境により、玄武洞のように柱状になったり、板状になったりすることがあります。
続いては、鳥越の滝です。写真右上が滝つぼです。
写真は、滝を真上から見ているので分かりにくいですが、
落差約30mの滝です。
このあたりは温泉地帯で、かつては鳥越の滝の滝つぼに温泉として浸かる人もいたとか。現在は危険なため立ち入り禁止になっているようです。
この滝のすぐ上流に、滝の上温泉という、そのままな名前の温泉があります。
この温泉地域では、斜面からいくつも噴気をあげています。すでにだいぶ紅葉が進んでおり、見事な景色です。
特に下調べもせず、道路地図に載っていた滝の名前を見て、期待もせずに行ったので、これほどの景色が見られるとは思っていませんでしたが、行ってみて良かったです。
茨城にも、まだ知らない見どころがたくさんありそうですね。
(伊藤)
千波湖
今回は私の研究地域である、茨城県水戸市の「千波湖」について少し話したいと思います。
千波湖の写真です。
水戸駅にも近い千波湖は、市民の憩いの場となっています。
千波湖は那珂川から砂や泥などが桜川に運ばれて、それが桜川に溜まって川の一部がせき止められることにより形成された湖です。
現在の千波湖は東西の長さが1.3km、水深約1mですが、江戸時代には東西3km程の大きさでした。
何故こんなにも縮小したのでしょうか。
それは、明治22年に日本国有鉄道の開通に伴う水戸駅の設置や、大正末から昭和初めにかけての干拓事業、昭和42年以降の水戸駅南部地域の開発等によってだんだんと縮小・整備されたためです。
ところで、湖の定義をご存じですか?
日本では天然の広くて深いものが湖、ということになっています。ずいぶん曖昧ですね。
世界一般には水深5-10mのものを指すようです。日本と世界の定義で考えれば、千波湖は湖ではないということになってしまいますが、江戸時代以前は湖の明確な定義がなかったのでこういう矛盾が発生したのです。
千波湖の隣には偕楽園があって花の咲く季節には千波湖周辺は素晴らしい風景がみられます。
プロジェクトでは現在千波湖周辺の地質観光まっぷも作成中なので、マップが完成したら周辺の観光がてら地質の観光もしてみてはいかがでしょうか。
黒鉱-くろこう-
見学旅行というのは、地質を見てまわる巡検のことです。
私の参加した見学旅行は、秋田県の小坂鉱山周辺。
昔、黒鉱という重金属の集まった黒い鉱石を採っていたところです。
これがその黒鉱です。
この鉱石は、「チムニー」が固まってできたものです。
チムニーとは、海底で噴出している熱水に含まれる金属類が析出して固まったものです。それが長い時間をかけ、小坂鉱山では黒鉱として姿を変えて見ることができます。
海底でできるチムニーが、いま秋田県の陸上で見られるということは、この地域を形成する地層はかつて海底にあったということですね。
この鉱山は秋田県が推奨するジオパークのポイントにもなっています。
茨城はもちろんのこと、このような地質学的に面白いポイントは全国各地に存在します。
興味のある方は日本地質学会の出版している
「日本列島ジオサイト 地質百選」という本をご覧ください。
地質百選といえば、筑波山も選ばれていますよ!
私たちはこのようなポイントを地質観光まっぷという形にしています。
これからどんどん増やしていきますので乞うご期待!
学生フェスティバル
皆さんは学生フェスティバルというものをご存じですか?
学生フェスティバル、略して学フェスは毎回各大学が持ち回りでホストとなり、その土地の地質を紹介するイベントです。
学フェスの歴史ははるか昔、イザナギノミコトが日本列島を創った時から・・・なんていうのは冗談です。学フェスに参加していた先輩いわく、なんと7年前から途切れることなく続いている伝統あるイベントだそうです。
今年は3月に茨城大が、9月に信州大がホストとなって行われました。
今回、9月5,6,7日に行われた学フェスに参加したので、その様子を紹介したいと思います。
上の写真は中央アルプス駒ケ岳の写真です。
山頂のほうは雲がかかっていてよく見えませんね。
白く見える石はすべてカコウ岩という、地下深い所で出来た岩石です。
なぜこんなにも石がごろごろと転がっているかというと、およそ4.5万年前に、この山を覆っていた氷河が表面を削りとり、その山体を構成していたカコウ岩などの残骸が残っているためと言われています。
また、この山の標高はなんと2956m(!)もあります。
登山初体験の私ですが、がんばってなんとか頂上まで辿りつくことができました。
さて、この山はなぜこんなにも高いかというと、それは断層運動の結果であると考えられています。
長野には中央構造線という大きな断層があり、その中央構造線などの度重なる断層運動によって駒ケ岳を含む木曽山脈が隆起しました。
断層の運動が約3000mもの山を生むなんて、本当にすごいですね!
皆で山を登るというのは楽しいですね!
今回の学フェスでは他にもたくさんの物を見、聞きしとても勉強になりました。あと、信州大の方々のお酒の強さも(笑)
また、登山の翌日には前述の中央構造線の博物館に行ってきました。
断層運動によって生まれた岩石などが展示してあり、とても興味深いものでした。
学フェスは、その名の通り学生による学生のためのイベントです。
そのため、一般の方にとっては少々近づきがたいものがあると思います。
もっと多くの方に地質の面白さを知ってもらうため、このプロジェクトのメンバーとして頑張っていこうと思います。